こちらのお車は、時間が経つと途中からエアコンが冷えなくなるということで入庫のストリーム。
点検の結果、コンプレッサーのクラッチが劣化して熱を持つと磁力が弱くなるという症状。
ホンダ、スズキ車でよく見られる症状です、クラッチAssyを交換すれば直りますが、クラッチが高価なためもう少し追加してへたってきたコンプレッサーごとリビルト品に交換することを当社ではおすすめしています。
途中の画像が無いのですが、運転席側のラジエーターファンを取り外してから、コンプレッサーを取り出します。
こちらが外したラジエーターファン
こちらがご用意したコンプレッサーリビルト品。
こちらが取り外した現品コンプレッサー、右下側はガス漏れによる汚れです。
このお車、正規量が500gですが、回収量は260gしか有りませんでした。
いつもブログで書いていますが、コンプレッサーを交換する際は必ず、取り付けするコンプレッサーのオイル量を調整しましょう。
こちらの画像、左側がリビルト品に注入されていたオイル、100cc入っていました、対して右側が現品から回収できたオイル、25ccしか入っていません。
もし無調整で取り付けすると、差の75ccがオイル過多としてシステムに負担を掛け続けます。
漏れ等も考慮して30cc程をリビルト品に戻します。
パイプジョイント部のOリングを交換する時に気がついたのですが、Oリングを外すと筋状の傷が有りました。
このタイプのOリングはこの凹んだ面と相手側との2面でシール性を発揮しますが、Oリングに対して垂直の傷はそのままガス漏れに直結します。
傷の状態から、過去にガス漏れ修理でOリングを交換する際にエンジン用のOリングリムーバーでこじって外したのでしょう。
アルミパイプではその方法は絶対にダメです、樹脂製か面に当てないように取りましょう。
傷が無くなるまで大きな範囲で研磨し、磨き上げます。
部分的に削るとその部分だけOリングの負担になり、ガス漏れを起こしてしまいます。
深さにしてみれば0.1mmも無いですし、ある程度研磨してもガス漏れは起こりません。
オイル量の調整が終わったコンプレッサーを車両に取り付けます。
研磨が終わり、Oリングを交換したパイプをコンプレッサーに接続します。
ラジエーターファンを取り付けし、ベルトを掛ければ組み上げ作業は完了です。
この後、真空引き・冷媒充填・ガス漏れチェックをしてから、冷え具合の最終確認をして完成になります。
全ての作業が終わったエンジンルーム
最終チェックをしている間に綺麗にしておきます。
オイルが漏れたわけでも無いので、綺麗にする必要は無いのですが、やっぱり綺麗な方が気持ちがいいです。
本日の最高気温は37℃でしたが、吹出口では5.7℃まで冷えました。
内気循環、風量2ぐらいの設定です。
コンプレッサーのオイル調整を怠ると、10℃前後位までしか冷えなくなったりします。
もしコンプレッサーを交換したことがあるなら、あなたのお車は大丈夫でしょうか?
この度はご依頼ありがとうございました。