こちらのお車は走行中に突然システムがダウンして走行不能になってしまったとのことで入庫です。
場合によってはリコール問題か!!と言う内容ですが
事は意外な顛末を迎えます・・・
まず、IGONになるのですがREADY になりません。
通常車で言えば、エンジンが掛からない状態。
ドアロック・パワーウィンドウ・スモール・エアコン・オーディオが動作しません。
補記バッテリー関係を疑いますが、電圧は大丈夫です。
残念ながらダイアグも通信不能です。
回路図を確認して、ALT140Aのヒューズが怪しいです。
ヒューズを見たところ、やはり色が変わっており何らかの異常が有るようです。
このヒューズはメインヒューズ群として一体化されています。
分解して行き確認を進めます。
中央に見えるのがヒューズ、すでに浮かせてある状態
このように各接続端子はボルトで固定されています。
中央の変色している部分が140Aのヒューズです。
完全に溶断していました。
溶断した原因ですが、140Aのヒューズを飛ばすのですから相当な電流が流れたことがわかります。
不用意に通電は出来ないので、回路図を見ながら原因を予測していきます。
検討の結果、一番考えられるのはハブリッドビークルコンバーター、通常車でのオルタネーターの役割をする部品です。
部品が搭載されているのは、運転席下のこの位置。
この部品はHVの高圧電源を電装用の12Vへ変圧して各種電装品への給電や、補記バッテリーの充電を司っています。
中央の長細いユニットがそれになります。
さらに分解・・・
ん?
んんっ!!?
なんじゃこりゃー!!
なんと、落ちたお金がメーカーの回路図に無い新たな短絡回路を形成しておりました。
110円の織りなす見事なコンビネーション!!
スパーク痕から見て相当な電流が流れたようです。
140Aのヒューズを飛ばした原因は間違いなくこれのようです。
落ちたお金(通称:床下貯金)が他にも・・・
合計670円也
全て回収し、証拠品としてオーナー様へお返しします。
撤去した後には見事なスパーク痕。
メーカーもこのような自体は想定外だったのでしょう。
樹脂カバーと金属カバーそして内装をすり抜けてきたようです。
この内装の・・・
この部分が、浸入経路では無いかと推測されます。
伺ったところ、少し前に盛大に財布の小銭を落としてしまったことがあるそうです。
皆様も何が起こるかわかりませんからご注意下さい。
最後に日立のHDM8000でダイアグコードを確認していきます。
全自己診断でこれだけのユニットが確認できます。
各ユニットのデータモニターも出来、作業サポートも対応しているのでかなり使い勝手がいいです。
電源がカットされたため、ほとんどダイアグは入っていません。
システムを起動し、ハンドルを左右にいっぱいきって学習をさせた後
全自己診断を消去しました。
最終的に残ったのは屋内正常のエアコンのコードのみ
全てが正常になりました。
今回はイレギュラーな修理でしたが、回路図を良く理解することで、迅速な対応が可能でした。
くれぐれも床下貯金はされないようにお気をつけ下さい。
この度はご依頼ありがとうございました。